アルコール臭い空に、歌が聞こえてくるんだ。
聞こえる……
………
歌が…聞こえる……
一閃の光も赦さぬ空…
土煙る荒野…
目前では人の形をしていると辛うじて認識できる"モノ"が連なり左右に揺れている…
黒い"モノ"が揺れている…
ふと、隣を見る、揺れている…
黒い"モノ"が揺れている…
目を閉じる。
鼻を摘まむ。
耳を澄ます。
聞こえる。
去年は聞こえなかった歌。
それは、大地を揺らし、我が身も揺らし、果ては脈動する心臓を加速し、只、死へと向かうこの人生をも加速させる。
齢22にもなって、生誕と同等の輝きを得ようとしているのだ。
その程度の対価は当然であろう。
……
聞こえる……
………
歌が…聞こえる……
夜空を裂く叫びは、一丸となり弾丸の如くこだまする。
老衰したかつての若人達が、余生を対価に生誕ともみまごうほどの息吹きをあげる。
そう、この歌こそが11月なのである。
それはほんとうに。夢のような、日々でした